デッドリフトはいきなり引くな──「カチャ音」とバーのたわみの正体
デッドリフトでよく聞く注意に、
「いきなり引くな」というものがあります。
ただ、この言葉だけだと、
- なぜダメなのか分からない
- 結局どのくらい力を入れていいのか曖昧
となりがちです。
この記事では、
- 「カチャッ」という音の正体
- バーのたわみが起きる理由
- なぜ引く前に“一瞬の準備”が必要なのか
を、構造と動きの順番から整理します。
前提:デッドリフトは「立ち位置」でほぼ決まる

この話に入る前に、ひとつだけ前提があります。
それは、正しい立ち位置ができていることです。
立ち位置がズレていると、
- バーとの距離が合わない
- 引く前の準備が作れない
- 今回の話も成立しない
まだ確認していない方は、先にこちらを読んでください。
▶ 前回の記事:デッドリフトの立ち位置|バーはどこに置くべきか?
「カチャッ」という音は、何が起きているのか?
デッドリフトで、
- 引いた瞬間に
- 「カチャ」「ガチャン」と音がする
経験がある人は多いと思います。
これはフォームの問題というより、
バーとプレートの構造によるものです。
バーとプレートには「すき間」がある
そもそも、プレートの穴は、
バーベルの端の直径より少し大きく作られています。
そのため、
- バーとプレートは完全に密着していない
- わずかな「遊び(すき間)」がある
この状態で、いきなり強く引くと、
- まずすき間が一気にぶつかる
- 音だけが先に出る
- 力はまだバー全体に伝わっていない
つまり、

一番力を入れた瞬間に、力が100%バーに伝わっていない
という状態が起きます。
急に引くと、なぜ危ないのか
急に引くと、
- 音と衝撃だけが先に来る
- 身体だけが反応してしまう
- バーはまだ準備できていない
結果として、
- 腰や背中に衝撃が集中する
- 「力を入れたのに重い」感覚になる
- ケガのリスクが上がる
これは、頑張り不足ではなく、順番の問題です。
正解は「上げる前に、少し引く」
デッドリフトで最初にやるべきことは、
いきなり上げることではありません。
上げる前に、
- 軽く引く
- バーの遊びをなくす
- すき間を埋める
この一瞬の準備が重要です。
イメージとしては、


- バーが少したわむ
- プレートが浮き出しそうになる
ここで初めて、
バーとプレートが一体化した状態
になります。
準備ができたら、爆発的に上げていい
すき間がなくなり、
- 力の通り道ができた
- バー全体に力が伝わる

この状態なら、
一気に上げて問題ありません。

つまり結論は、
- 爆発的に上げるのはOK
- ただし「順番」が違うとNG
ということです。
引く前の動きが、次につながる
この「少し引く」動きの中で、
- 肩がわずかに伸展する
- 広背筋が収縮しやすくなる
という変化も起きます。
これによって、
- 広背筋が上げる動作に参加しやすくなる
- バーを身体に引きつけやすくなる
この点については、別の記事で詳しく解説する予定です。
動画で確認:バーのたわみと「カチャ音」
まとめ
- いきなり引くと、力はバーに伝わらない
- 原因はバーとプレートの「すき間」
- 上げる前に、軽く引いて準備する
- 準備ができたら、爆発的に上げてOK
デッドリフトは、力の強さよりも順番です。
順番が整えば、
重さは自然と扱えるようになります。

コメント