BIG3は魔法ではありません。
ただし「なぜBIG3が軸として使われるのか」を理解しているかどうかで、
その後のトレーニングの組み立ては大きく変わります。
特にデッドリフト(ヒンジ動作)は、
年齢や競技志向に関係なく「身体の使い方」を学ぶ上で非常に有効です。
→ デッドリフトは「軽くても伸びる」が、「軽すぎると伸びない」
「やらない」のと「やれない」のは、まったく別の話
「BIG3(スクワット・ベンチプレス・デッドリフト)は万能じゃない」
この意見は、半分は正しいと思います。目的や体の条件によって、優先度は変わるからです。
ただ、ここで一つだけ強く言いたいことがあります。
「やらない」のと「やれない」のは違う。
もし「やらない」なら、それは戦略です。目的に合わせて選べばいい。
でも、もし「やれない」なら話は変わります。動作ができない・怖い・痛い・姿勢が崩れる――この状態のまま避け続けると、日常生活の“困りごと”が増えていきます。
60代でも、ヒンジは伸びる。むしろ人生がラクになる
60代女性のクライアントさんは、最初に会った時点で「肩が調子が悪い」「動かすのが不安」という状態でした。
そこで、いきなり重い重量は狙いません。
まず徹底したのは、ヒンジ動作(股関節から折る動き)です。腰で曲げるのではなく、股関節で動く。これを体に覚えさせます。

ルーマニアンデッドリフト(RDL)を中心に、スクワットも段階的にパラレルからフルレンジへ。
結果として、股関節の使い方が上手くなり、肩の状態も安定していきました。
ここで大事なのは、「BIG3をやったから偉い」ではありません。
“しゃがむ/持ち上げる”が怖くなくなると、生活そのものがラクになるということです。
スクワットが担げない60代男性でも、脚は作れる
60代男性(身長170cm台・体重70kg前後)のクライアントさんは、最初はスクワットが50kgの数回からのスタートでした。
コツコツ伸びていたのですが、社会状況によりジムが1か月ほど休館。再開後はスクワットを担ぐ感覚が落ちていました。
そこで一度、発想を変えます。
「スクワットができない=脚が伸びない」ではありません。
スクワットの代わりに、ブルガリアンスクワット(片脚)を加重して、脚の土台を維持しました。

そしてコンディショニングを挟みながら、最終的にはスクワットも復活。
結果として、スクワット80kg×5回×3セットまで到達しました。
※個人が特定されないよう、細部は調整しています。
20代男性は「やらない」を選べる。だが「できる」は武器になる
一方で、ボディメイク目的の男性クライアントさん。開始当初は20代
最初は見た目重視の設計で、スクワットは最低限、ベンチや懸垂を中心に進めました。
その後、背中の厚みを作る段階でデッドリフトを導入。
安全に扱えるレベルまで到達した後は、ベントローなどへ移行し、現在はデッドリフトはメインから外しています。
この方は「やれない」からやらないのではなく、「やらない」を選んでいる。

デッドリフトを外した後も、日常で重いものを持つ際の体の使い方は明らかに変わりました。
ヒンジと脚で持てるようになると、体は壊れにくくなります。
BIG3は「絶対」じゃない。でも「できないまま」は損をする
BIG3が全員の最適解とは言いません。
ただ、60代の方を長く指導してきて、確信していることがあります。
できなかった動きが、できるようになった瞬間から、人生の快適度は確実に上がる。
それは「やらない」のか、「やれない」のか。
もし「やれない」なら、そこは伸びしろです。やり方さえ合えば、体は必ず変わります。

コメント